読んでほしいこの本

2015/12/2 written by BOOK TRUCK

今後が楽しみな新作マンガ【後編】

今週は先週紹介しきれなかったオススメの新作マンガを5冊ご紹介します。世界的に活躍するあのマンガ家や、ドラマ化で話題のあのマンガ家など、今押さえておきたいマンガ家たちの最新作です。どうぞお楽しみください!

ポップでキッチュなダークヒロイン

デスコ 1

カネコアツシ

KADOKAWA / エンターブレイン

2014.10.25

この本のあらすじ

クソつまらない世界を騒がせる、ウルトラポップなダークヒロイン、降臨。彼女の名は・・・。ジャンルも国境も超えて活躍する漫画界の鬼っ子・カネコアツシが“今”に解き放つ、新たなコミック・ノワール、世界注目のスタート。

おすすめコメント

世界的に注目されているマンガ家、カネコアツシの最新作です。改造人形・玩具を武器とする殺し屋少女「デスこ」が、非道の限りを尽くした悪党どもを無慈悲に殺戮していくところなどは、映画『キックアス』的で爽快かつ痛快!アメコミの王道をいくような絵柄や設定と、日本的な狂ったギミックの相性が抜群で、最高にカッコよい作品に仕上がっています。好き嫌いが分かれる作品ではありますが、カネコアツシ初心者にも是非オススメしたい作品です!

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「朝食」の次に紹介するのは「不動産」

吉祥寺だけが住みたい街ですか? 1巻

マキヒロチ

講談社

2015.11.9

この本のあらすじ

雑司ヶ谷、五反田、錦糸町、駒澤大学、中野…「住みたい街No.1=吉祥寺」は間違っていた!? 吉祥寺で不動産を営む重田双子(しげたツインズ)はどこにでもある街へと変わっていく吉祥寺に不満たらたら。なのに、お部屋探しにやって来るのは「住みたい街No.1=吉祥寺」の幻想を抱く女子ばかり! だから、今日も紹介しちゃうんだな吉祥寺以外の街を。最旬作家・マキヒロチが描く街ぶらラブな不動産マンガ!

おすすめコメント

ドラマ化もされた『いつかティファニーで朝食を』で一躍人気作家となったマキヒロチの最新作。前作の流れをくんだ「街ブラ」がメインかと思いきや、不動産の紹介がしっかりしているのが好印象です。広いお風呂、床暖房、壁紙など、各物件のアピールポイントも的確で、ちゃんと「こんな部屋に住みたい!」と思わせてくれるあたりはさすがですね。胸にしまい込んだ引っ越し欲をチクチク刺激されてしまいます。また、本作にも実在するお店が多数登場し、その街の顔とも言える名店、名物グルメもしっかり紹介してくれるのも嬉しいあたり。西小山、豪徳寺、不動前など超メジャーではないけど魅力あふれるこれらの街を、マキヒロチだったらどう紹介するのだろうと妄想するのも楽しいです。自分が好きな街が登場するのを心待ちにして、今後も注目していきたいマンガです。

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こだわるって素晴らしい!

その「おこだわり」、俺にもくれよ!!(1)

清野とおる

講談社

2015.6.23

この本のあらすじ

『その「おこだわり」、俺にもくれよ!!』――それは日常の退屈と喜びを描いたノンフィクション漫画の白眉である。著者の清野は、あたたかい眼差しで我々の生活を見つめ、日常に潜む「おこだわり」を抽出する。「僕は貧乏な人は格好がいいと思う」と清貧に生きる人々を賛歌したのは、劇作家の山田太一だったか。清野もまた、ツナ缶、ポテトサラダ、白湯、さけるチーズなど、ゼニのかからぬ喜びを賛歌して余りない。実にタマラン。

おすすめコメント

『ウヒョッ!東京都北区赤羽』の著者として知られる清野とおる。ちょっと変わった人物を描かせたら右に出るものがいない彼が、「つまらない日常生活の中で別にこだわらなくてもいいことに敢えてこだわり そこに自分だけの幸せを見出しコソコソと楽しんでいる輩(=おこだわり人)」に注目し、彼らにこそこの世を楽しく生き抜くヒントがあるという確信のもと、インタビュー形式で彼らの「おこだわり」を紹介していきます。この着眼点が本当に素晴らしいですね。様々な「おこだわり」が登場するたびに必ず発動する、著者の明らかに度を越したオーバーリアクションが面白すぎます。純粋に笑えるという意味では、2015年のNo.1かもしれません。嫌なことを忘れて楽しくなりたい方必見ですよ!

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奇妙な逃避行の行方は……

私を連れて逃げて、お願い。1

松田洋子

KADOKAWA / エンターブレイン

2015.1.24

この本のあらすじ

すべてを捨てる。なんだってやる。過保護な祖父母に肥え太らされた、箱入り娘の福田日芽(ふくだ・ひめ)。いつか王子様が迎えにくると信じる、彼女の前に現れたのは・・・・・・本当の王子様? さあ、最低で最高な逃避行のはじまりはじまり・・・・・・。ここではないどこかを夢みるすべての人たちへ贈る、迷走ロードコミック!

おすすめコメント

祖父母による虐待に近い過干渉、育児放棄、犯罪からの逃避行と、描いている内容はなかなかヘビーなのに、全体を通してシリアスになりすぎないのは、人間が持つ「痛さ」を笑いに変えることができる松田洋子の絶妙なユーモア感覚によるところが大きいと思います。登場するのは一癖も二癖もある人物ばかりですが、誰も彼も愛らしいキャラクターばかり。その筆頭でもある主人公の日芽(ひめ)と央治(おうじ)の奇妙な逃避行が一体どういった結末を迎えるのか、今後の展開が非常に楽しみです。

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新たは本格派野球マンガ

BUNGO―ブンゴ― 1

二宮裕次

集英社

2015.7.17

この本のあらすじ

少年野球チームのない町に育った石浜ブンゴは買い与えてもらったボールをブロック塀に投げ込む毎日。そんな「壁当て」に心血を注ぐブンゴのもとに、少年野球日本代表の野田ユキオが現れて、二人は予期せぬ対決へ・・・!! のちに中学校で邂逅した二人は、揃って超強豪「静央シニア」へ入団する──!! 甲子園のための甲子園を超える死闘、中学野球で、少年達の情熱が乱れ弾ける──!!

おすすめコメント

ワクワクするストーリー展開、迫力と躍動感溢れる丁寧な絵、魅力的なキャラクターたち、面白くなる要素は十分ですし、実際かなり面白いです。ただ独自のトレーニングを積んできた主人公と、若くして注目をされるその競技のエリートのライバルという設定は、『ファンタジスタ』や『シャカリキ』などにも見られるように、比較的ありふれた設定でもあるので、今後どのようにオリジナリティを獲得していくかが楽しみです。

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いかがでしたか。イチオシは『デスコ』と『その「おこだわり」、俺にもくれよ!!』です。どちらもちょっと元気がない時に読むと、とても元気になりますよ。ぜひ試してみてください。さて次週は「仕事をもっと楽しくする本」をお送りいたします。どうぞお楽しみに。

BOOK TRUCK

2012年3月オープン。BOOK TRUCKは公園や駅前、野外イベントなどの行く先々に合わせて、その都度品揃えや形態が変わるフレキシブルな移動式本屋として、新刊書、古書、洋書、リトルプレス、雑貨などを販売。

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