2人の天才をめぐる大河ロマン
アド・アストラ ―スキピオとハンニバル―
集英社
2011/10/19
この本のあらすじ
荒木飛呂彦氏激賞!紀元前3世紀、台頭著しい共和政ローマを恐怖の底に突き落とした男がいた。ハンニバル・バルカ── ローマ史上最大の敵となった怪物と、彼からローマを守った英雄プブリウス・コルネリウス・スキピオ。同時代を生きた二人の戦いが、今幕を開ける!
おすすめコメント
ウルトラジャンプにて連載中の『アド・アストラ ―スキピオとハンニバル― 』はカガノミハチ初の連載作品です。しかし新人とは思えぬ堂々とした作風で、早くもマンガ好きの間で人気が高まってきています。スピキオとハンニバルのもつ天性の知略、人心掌握術の凄まじさと、ドラマチックな関係性を描いた書籍としては塩野七生『ローマ人の物語 ハンニバル戦記』が有名ですが、本作もそれに勝るとも劣らない面白さです。同じく古代戦記モノで岩明均の名作『ヒストリエ』が好きな方には間違いなくおすすめの作品です。
マイナー競技×かわいい女の子×王道ストーリー
あさひなぐ
小学館
2011/4/28
この本のあらすじ
二ツ坂高校一年、東島旭(とうじま・あさひ)、15歳。中学まで美術部だった旭は、「薙刀は高校部活界のアメリカンドリーム!スポーツに縁のなかった人間でも全国にその名を轟かすことができる」といううたい文句に感激し、薙刀部に入部する。“なぎなたガールズ”によるなぎなた青春スポ根マンガ。
おすすめコメント
多摩川美術大学を中退し、マンガ家、イラストレーターとして活動を始めたこざき亜衣。著者はグラフィック社から『美少年の描き方』という人物デッサンの教本も発行しており、デッサン初心者から人気を集めていました。これらの経歴からも著者の画力の高さは推して知るべし。個性的なキャラクターたちえを表情豊かに描き分け、薙刀という競技の優雅さと激しさとしなやかさを躍動感いっぱいに表現する技量はさすがです。さらに、奇をてらわない丁寧なストリーテリングも彼女の大きな魅力!いま最も安心して楽しめるスポ根マンガのひとつでしょう。
『岳』をも超える名作になるか!?
BLUE GIANT
小学館
2013/11/29
この本のあらすじ
ジャズに心打たれた高校3年生の宮本 大は、川原でサックスを独り吹き続けている。雨の日も猛暑の日も毎日毎晩、何年も。「世界一のジャズプレーヤーになる・・・!!」努力、才能、信念、環境、運・・・何が必要なのか。無謀とも言える目標に、真摯に正面から向かい合う物語は仙台、広瀬川から始まる。
おすすめコメント
初の連載作品『岳』でいきなりマンガ大賞や文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞した石塚真一。すでに人気作家としての地位を固めつつありますが、『岳』での成功が決してフロックではなかったことを、本作で軽々と証明してくれました。『岳』では山の魅力に取り付かれた山岳救助隊員「島崎三歩」を優しく描きましたが、この『BLUE GIANT』ではひょんなことからジャズの魅力に取り付かれ、そのディープな世界にのめり込んでいく高校生「宮本大」をひたすら熱く描いています。これは『岳』をも凌ぐ名作になる予感大!!
久しぶりに出会ったとてつもない才能“宮崎夏次系”
僕は問題ありません
講談社
2013/8/23
この本のあらすじ
間違いだらけでも好きだよ、と世界(キミ)は、僕に、言う。淋しい「一人」と「一人」が出会い、人生は輝き出す。生きていく淋しさを抱えた、すべての人の心に虹をかける短編八編を収録。
おすすめコメント
個人的に一押しのマンガ家です。デビュー短篇集『変身のニュース』からその希有な才能は誰の目にも明らかなほどキラキラ輝いていましたが、2作目の短篇集である本書では、その文学的表現がちょっとただ事でない領域へと進化しました。彼女の描く世界はポエティックでありながらドラマチック。どちらかに偏っているマンガはたくさんありますが、どちらも高い水準で備えているマンガにはそう出会えません。星新一のような切れ味鋭い掌編のストーリーに、真鍋博のように奇妙で夢のような絵柄がとても良くあっています。
いかがでしたでしょうか?日本のマンガ界の層の厚さと表現の多様性はほんとうに素晴らしいですね。今回ご紹介したマンガ家4名は、すでに素晴らしい作品を生み出しながらも、さらなる進化を予感させる作家ばかりです。彼らの作品をリアルタイムで楽しむことができるこの状況を喜びましょう!