サッカー漫画としての総合力はno.1
BE BLUES!~青になれ~
小学館
2011.6.17
この本のあらすじ
日本人に生まれたら、サッカーをやっているなら・・・日本代表のユニフォームを手に入れたい!誰だってそうだろ!一条龍は、本気で日本代表になることを夢みているサッカー少年だ。幼なじみの双子・優人と優希といっしょに、まずは全国少年サッカー大会で優勝を目指す!!1対1の躍動感!ゴール前の緊迫感!絶妙の連携プレーを成功させたときの高揚感!サッカーの醍醐味がここにある。本格サッカー大河ロマン堂々開幕!!
おすすめコメント
いま最もアツいサッカー漫画の一つです。『キャプテン翼』の大空翼を彷彿とさせるサッカーバカである一条龍が本作の主人公で、周囲を魅了するサッカーの天性の才能も含めて主人公として王道の存在感です。とはいえ、作品内で展開されるサッカーは非常に現実的で現代的です。試合戦術や若い世代の育成方法など、モダンサッカーのトレンドをしっかり押さえているあたり、綿密で丁寧に取材がなされていることが伺えます。『リベロ革命』『最強!都立あおい坂高校野球部』などスポーツ漫画の名作を生み出してきた著者らしく、ドラマチックなストーリーや躍動感のあるサッカー描写も素晴らしい!リアルなサッカー漫画を読みたい方にオススメの作品です。
新時代の理論はサッカー漫画の傑作
フットボールネーション
小学館
2010.5.28
この本のあらすじ
サッカー雑誌の女性カメラマン・緒形は、ある時、アマチーム「東京クルセイド」の取材を命じられる。そのチームの選手応募要項は「脚のきれいな選手求む!」・・・ふざけたチームだと、しぶしぶ河川敷に出かけた緒形だったが、そのチームとは別に、ある才能に出会う!河川敷を根城に、草サッカーチームの助っ人をしている“ジョーカー”こと沖千尋だった。
おすすめコメント
サッカー漫画のスタンダードを更新した傑作『GIANT KILLING』。この名作から遅れること数年、理論派サッカー漫画の新たな傑作『フットボールネーション』はスタートしました。運動科学総合研究所の高岡英夫の協力のもと、筋肉(主にインナーマッスル)の使い方に着目した本作は、今までにない視点でサッカーを見る楽しさを教えてくれます。こういった作品の出現は、そのまま日本サッカーの進化を予感させてくれるので、その未来を想像してワクワクしながら読み進めることができます。
日本サッカーの未来を本作に見る
さよならフットボール
講談社
2010.2.17
この本のあらすじ
体格に勝る男子と交じり、ひたむきにボールを追う。誰よりも理想のフットボールを求め、試合に出ることを渇望する少女、恩田希。14歳の少女の青春は、ある一人の少年との「再会」によって加速する――
おすすめコメント
中学で男子に混じりサッカーに打ち込む少女が主人公の本作。全2巻で完結する本作は、物語のテーマをほぼひとつに絞って展開していきます。それは「フィジカルで決定的に劣る相手にどう対抗するか?」ということ。男女の体格の差が如実に現れ始める中学サッカーを舞台に、主人公の恩田希がその苦悩しながらも奮闘していく様は、まさに圧倒的な身体能力をもつアフリカ、欧米に挑まなければいけない日本サッカーの姿にも重なり、とても多くの示唆に富んだ作品です。巻数はコンパクトですが非常に良質なサッカー漫画としておすすめですよ。
磐石の布陣で未知の題材に挑む
アオアシ
小学館
2015.4.30
この本のあらすじ
愛媛に暮らす中学三年生・青井葦人(あおいアシト)。
粗削りながら、強烈なサッカーの才能を秘めているアシトだったが、まっすぐすぎる性格が災いして、大きな挫折を経験することに―――
そんなアシトの前に、東京にある強豪Jクラブ「東京シティ・エスペリオン」のユースチーム監督・福田達也(ふくだたつや)が現れる。アシトの無限の可能性を見抜いた福田は、東京で開催される自チームのセレクションを受けるよう勧めて!?
将来、日本のサッカーに革命を起こすことになる少年の運命は、
ここから急速に回り始める!!
おすすめコメント
「Jリーグのユース」を題材にしたサッカー漫画を描くべく、スポーツライターでサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』で大宮アルディージャの番記者を務めた上野直彦を原案に迎えてスタートした本作。これまであまり描かれてこなかったユースサッカーの世界が、専門家の協力のもとリアリティのある漫画になるのは、サッカーで食べていこうと考えている少年たちにとってすごく良いことだと思います。まだ一巻しか出ていませんが、才能あふれる主人公がユースの厳しい現実を突きつけられ、その中でどのように生き残っていくのか、今後の展開が楽しみな作品です。
サッカーの楽しさを思い出させてくれる
DAYS
講談社
2013.7.17
この本のあらすじ
少年たちは全力で、笑い、泣き、走る!! 心をジンジン刺激する! 激熱サッカー漫画!! ――何のとりえもない、特技もない。けれど人知れず、熱い心を秘めた少年・柄本(つかもと)つくし。孤独なサッカーの天才・風間陣(かざま・じん)。嵐の夜、交わるはずのないふたりが出会ったとき、高校サッカーに旋風を巻き起こす、灼熱、感動、奇跡の物語が幕を開ける!!
おすすめコメント
平凡で何の取り柄もない(と自分で思っている)主人公、柄本つくしですが、彼は「桁外れの愚直さ」という他の誰も真似のできない才能を持っていました。それまで自分に自信の持てなかった主人公が、一人の選手に憧れ、サッカーに夢中になることで成長するストーリーは、スポーツ漫画の王道ながらやっぱり感動的です。プレイや設定のリアリティはひとまず置いておいて、サッカーの楽しさ、一つのことに打ち込み上達していくことの楽しさを思い出させてくれる作品です。
クライフの美学に酔いしれる
夕空のクライフイズム
小学館
2014.4.30
この本のあらすじ
大昔の名選手・クライフに心酔する新監督の口から発せられた言葉に部員達は息を呑む・・・「勝つことにこだわっても、どうせどこかで負けます。だったら美しいサッカーにこだわりましょうよ。最高の負け試合をして、絶頂の中で美しく散りましょう!!」おいおい・・・いいのかそれで!!?俺達の最終学年、この中2病みたいな監督に任せちゃって本当にいいのか!!?
おすすめコメント
タイトルにもある通り、「美しく敗れることは恥ではない 無様に勝つことを、恥と思え」という「クライフイズム」が物語のテーマ。現代サッカーの勝利至上主義に対するアンチテーゼとしての「クライフイズム」ですが、観客を魅了してくれるこのスタイルは見る側としてはやっぱり面白い!サッカー好きならばニヤニヤしてしまう小ネタも満載で、普通のサッカー漫画では飽き足らないという方におすすめです。
いかがでしたか。日本のサッカー漫画シーンはリアリティも多様性もあって本当に豊かですね。さて次週は夏本番を前に「アウトドアを100倍楽しむための本」をお送りいたします。どうぞお楽しみに!