初心者必携のベストガイド
【合本版】落語名作200席
KADOKAWA / 角川学芸出版
2014.12.15
この本のあらすじ
演目別にストーリーと主な会話、噺のオチと結末、どの噺家の十八番かなどをコンパクトにまとめる。圓生、志ん朝、小三治など、名人の落語を世に送り出してきた名プロデューサーならではの蘊蓄が満載。※本書は角川ソフィア文庫「落語名作200席 上」「落語名作200席 下」の合本版です。
おすすめコメント
涙を誘う家族ドラマ「子別れ」、子供に人気の言葉遊び「寿限無」、『昭和元禄落語心中』で主人公を虜にした「死神」などなど、是非とも押さえておきたい名作がズラリと紹介されています。紹介されている内容はコンパクトながらもよくまとまっていて、読んでいるそばから実際に聞いてみたくなりますよ。落語に興味を持った方にとって、一冊手元に置いておくと何かと便利なベストガイドです。
落語の魅力は台詞にある!
落語の名台詞100
PHP研究所
2006.3.17
この本のあらすじ
古典落語に出てくる台詞を紹介し、それらを現代にあてはめればどのように活用できるかを解説。そのまま使えるものもあれば、少しアレンジすれば使えるものもある。噺のあらすじも紹介しているので、その台詞がどのような状況の中で出てくるのかもわかる。例えば「あらちょいと、お前さんもろこしだよ。」「お前まで与太郎がうつったんじゃないか?」「大きくは見えましても、半分は雪でございます」「おんなじようなのがもう一人ふえちゃったよ」「あんなに苦しい思いをするくらいなら生きてるほうが楽だ」……。中には一見しただけではわからないマニアックな台詞もあるが、内容がわかれば、呵呵大笑。そして使ってみたくなる。円楽師匠も大絶賛した本書は、落語ファンのみならず誰でも常識として知っておきたい、落語の名・迷台詞の満載の一冊!
おすすめコメント
落語の面白さの一つに、ついつい口に出したくなるような台詞の心地よさがあります。無数に存在する名台詞の中には、時代背景や当時の風俗を知っていてこそ初めて楽しむことができるものが多いのも事実。本書では単なる台詞の紹介にとどまらず、各名台詞に丁寧な背景解説が付いているので、言葉の裏に隠された真意までしっかりと読み取ることができます。どんな演目を聴こうか迷ったら、気になる名台詞から選んでみるのも良いかもしれませんね。
落語は生きる知恵の宝庫
人生で必要なことはすべて落語で学んだ
PHP研究所
2006.3.1
この本のあらすじ
「えー、落語というものは人生のケース・スタディのようなものでして…」。歴史小説を書くかたわら、全国各地で数多くの講演をこなす著者。人名・地名などの固有名詞が次々と出て歴史の話はとかく堅くなりがちだが、著者はそれを柔らかく解きほぐし聴衆の気を逸らすことがない。その巧みな話芸のエッセンスは、何十年来聴き続けてきた“落語”にあるという。本書は、「こんな旅をしてみたい」「ダメ亭主ダメ女房」「嫌な奴を笑わせてやりこめる」「キレイな金の使い方」「“それを言っちゃーおしまいだよ”を言っちゃった時」など、家庭円満の秘訣や人間関係を円滑に保つ方法を、落語から学ぶ一冊。職人や商人、侍が織り成す落語ワールドは、まさに生きる知恵の宝庫。大の落語ファンが名作落語を引き合いに、軽妙に語る上手な生き方。「どうぞ“落語人間”におなりください」。笑いは本人を幸せにするだけでなく、周りも幸福にします!
おすすめコメント
落語には人生を豊かに生きていくために必要な考え方や心構えがふんだんに盛り込まれています。しかも、こう言った重要なメッセージを、いかにも「為になります!」といった大仰なお話ではなく、軽やかな笑い話や人情話の中にスッと潜ませるというのがなんとも粋で、心憎いではありませんか!そんな落語の楽しみ方がよくわかる一冊です。
ど直球の落語本をコミックで
しゃべれども しゃべれども
白泉社
2007.4.27
この本のあらすじ
俺は今昔亭三つ葉。当年二十六。三度のメシより落語が好きで、噺家になったはいいが、未だ前座よりちょい上の二ツ目。自慢じゃないが、頑固でめっぽう気が短い。女の気持ちにゃとんと疎い。そんな俺に、落語指南を頼む物好きが現われた。だけどこれが困りもんばっかりで…胸がキュンとして、思わずグッときて、むくむく元気が出てくる。
おすすめコメント
国分太一主演で映画化した佐藤多佳子の小説『しゃべれども しゃべれども』。人々の心温まる交流、コンプレックスの克服と個性の確立、ほのかな恋模様、これらの落語を通してみずみずしく描いた傑作です。実はこれらのエッセンスは落語自体が持っている魅力とピタリと重なります。つまり、モチーフも落語なら、テーマも落語という、これ以上ないくらいまっとうな落語本なのです。本作はそんな『しゃべれども しゃべれども』の魅力を1巻にギュッと濃縮し、漫画化したものですが、勝田文の少し古風で実直な絵柄が原作の世界観によく似合っていて、非常に読みやすいので初心者にもオススメですよ。
落語に興味がない人をも虜にする圧倒的な面白さ
赤めだか
扶桑社
2015.11.18
この本のあらすじ
17歳で天才・立川談志に入門。「上の者が白いと云えば黒いもんでも白い」世界での前座修業が始まる。三日遅れの弟弟子は半年で廃業。なぜか築地市場で修業を命じられ、一門の新年会では兄弟子たちがトランプ博打を開帳し、談志のお供でハワイに行けばオネーサンに追いかけられる…。様々なドタバタ、試練を乗り越え、談春は仲間とともに二ツ目昇進を目指す!笑って泣いて胸に沁みる、破天荒な名エッセイ。
おすすめコメント
昨年末に公開されたドラマ版は二ノ宮和也、ビートたけしが出演し大いに話題になりました。雑誌『en-taxi』での人気連載を原型にした原作は、第24回講談社エッセイ賞を受賞していることからもわかるように、エッセイとして出版されていますが、物語としての面白さを追求した小説としての側面も備えています。その甲斐あってかストーリーと咄家たちのキャラクターがむちゃくちゃ面白い!原作にはドラマでは描かれなかったエピソードも数多くありますので、ドラマを見て興味を持った方は是非読んでみてください。また、本作の主人公・談春の兄弟子である談四楼が、師匠・談志の別の一面を描いた『談志が死んだ』も傑作なので、本書と合わせて読んでみてはいかがでしょうか。
女性にもオススメ
昭和元禄落語心中 1巻
講談社
2011.7.7
この本のあらすじ
満期で出所の模範囚。だれが呼んだか名は与太郎(よたろう)。娑婆に放たれ向かった先は、人生うずまく町の寄席。昭和最後の大名人・八雲(やくも)がムショで演った「死神」が忘れられず、生きる道は噺家と心に決めておりました。弟子など取らぬ八雲師匠。惚れて泣きつく与太郎やいかに……!? 昭和元禄落語心中・与太郎放浪篇、いざ幕開け!!
おすすめコメント
満を持してテレビアニメの放映が始まった本作。文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、講談社漫画賞を受賞している原作の面白さはもはや説明不要かと思いますが、落語を扱った創作物といえばこちらを外すことはできません。落語の魅力、咄家の業の深さ、滅びの美学といったやや男っぽいテーマが主軸となった作品ですが、作品の印象はどことなく女性的。天真爛漫で愛嬌のある主人公、偏屈だけど艶っぽくて影のある師匠など、落語の中から飛び出してきたような魅力的なキャラクターたちを、少女マンガのポイントを押さえて的確に配置しているからでしょうか。この男性的なものと女性的なものとのバランスがとてもフレッシュ!落語に興味のある多くの女性に読んでもらいたい作品です。
いかがでしたか。これらの本をガイドに、ぜひお気に入りの演目を見つけてみてください。ちなみに僕の好きな演目は古今亭志ん朝の「芝浜」です。何回聴いてもクスッと笑えてホロリと泣けます。さて次週は「人工知能と僕らの未来」をお送りいたします。どうぞお楽しみに。