沢木耕太郎は超一流のエトランゼである
旅の窓
幻冬舎
2013/4/26
この本のあらすじ
開けてごらん「旅の窓」を、感じてごらん「心の窓」で――。旅先で切り取った一瞬の風景が、著者の筆によって鮮やかなドラマに変容する。81篇の小さな物語。沢木耕太郎、もうひとつの旅の本。
おすすめコメント
紀行文学の名著と言えば沢木耕太郎『深夜特急』を挙げる方も多いのではないでしょうか。『深夜特急』ももちろん傑作ですが、本書も負けず劣らず素晴らしいのです。内容は、著者自身で撮影した写真に、著者の説明的なエッセイが添えられているシンプルな構成なのですが、これがまた絶妙に味わい深いものばかり!沢木耕太郎の一貫したエトランゼ(外国からの旅行者)としての目線は、日常のなかで埋もれてしまいがちなちょっとしたワンダーを見事に掬い上げます。本書を読んで、カメラ片手にフラッと海外を散策したい衝動に駆られるのは僕だけじゃないはず!
こんな旅行がしてみたい
集金旅行
新潮社
1982/6/1
この本のあらすじ
とあるアパートの主人が死んで、小学校一年生の男の子が一人、残された。生前の主人と親しくしていた“私”は、部屋代を踏み倒して逃げていった人たちから勘定を取立てるために、年増美人コマツさんを伴って、思わくも黒々と集金旅行に出たのだが……。諷刺とユーモアに富んだ絵巻物。ほかに「追剥の話」「因ノ島」「白毛」「丑寅爺さん」「開墾村の与作」「釣場」を併録する短編集。
おすすめコメント
井伏鱒二は『黒い雨』『ジョン萬次郎漂流記』など、ちょっとシリアスめな作品で評価をされた作家ですが、『山椒魚』などのように独特のユーモアとペーソスが味わえる傑作もたくさんあります。本作『集金旅行』もそのひとつです。飄々としているけどなんだかんだ優しい主人公と、全国各地に過去の“悪い恋人”がいるイカした中年美女のコマツさん。この2人がくり出す、“借金の集金”と言う名目の旅行がこの上なく楽しそうで羨ましい!1937年が初出の作品なので、戦前の言葉遣いが逆に新鮮な可笑しみを生みだしていて、読みながらクスクス笑ってしまいます。紙ではすでに絶版となっているので、この機会に電子書籍でどうぞ!
唯一無二の「自転車旅行美学読本」
旅用自転車 ランドナー読本
山と渓谷社
2010/4/19
この本のあらすじ
流行にとらわれない、ツーリング車で楽しむ大人の自転車旅のスタイルと美学。 自転車の旅に出るためのさまざまなノウハウやこだわりを凝縮しました。 パーツ、フレーム、ツーリング道具、キャンプ道具、ウエアそのほか、フランスやイギリス、そして日本のサイクリングが育ててきたサイクルツーリングの世界をたっぷりと紹介するのは本書だけ。
おすすめコメント
「ランドナー」とはキャリアなどが付いたフランス発祥のツーリング用自転車のこと。世の中ではクロスバイクやロードバイクが依然として高い人気を誇っていますが、僕としてはランドナーのが断然気になります。春の気持ちよく晴れた日に、レザーのキャリアに美味しいコーヒーとサンドイッチを詰め込んで、お気に入りの自転車で小旅行などできたら最高ではないですか。本書は自転車パーツやキャンプ道具、さらに自転車旅の心構えやノウハウまで、筆者の深い愛情とこだわりをビンビンに感じる良書です。サイクリストにもそうでない方にもオススメの一冊。
忙しくて旅行に行けないと思っていませんか?
鉄道旅行 週末だけでこんなに行ける!
光文社
2013/7/20
この本のあらすじ
どんなに忙しい会社員でも、鉄道を駆使すれば休みを取らずに盛りだくさんの旅行が楽しめる! 本書では時間がない人向けに、週末だけで鉄道旅行を存分に楽しむ方法を紹介。たとえば寝台特急「北斗星」や「サンライズ」を使って週末だけで北海道や、九州・四国を旅するなんていう大技も披露。鉄道だからこそ短い時間で日本をたっぷり旅できる!
おすすめコメント
週末の休みをフル活用して、あんなところやこんなところまで電車で旅行できてしまうんです。最近ではLCCも定着してきて、いろいろなところに安く早く行くことができるようになってきましたが、旅行は「どこに行くか」だけじゃなく「どうやって行くか」も大きな楽しみのひとつですよね。思い立ったら吉日と言うことで、今週末にでもローカル線や夜行列車を駆使したとびきり楽しい鉄道旅行に出発しては如何でしょうか。屈指の鉄道紀行作家・宮脇俊三の名著『時刻表2万キロ』も最高なので、こちらも併せて是非!
ニッポンの魅力を再発見
郷土LOVE
KADOKAWA / 角川書店
2012/11/22
この本のあらすじ
仏像、ゆるキャラ、祭り、名所旧跡、うまい店にちょっと変わったお土産品。気になるものを追いかけて日本中を旅し続けるみうらじゅんが、47都道府県すべての見どころを、持てる限りの知識を披露して解説しました。あなたの住む場所や故郷にも彼は訪れ、きっと楽しんで過ごしたはずです。郷土への愛あふれる、みうらじゅん的県民論。旅のお供にもどうぞ。
おすすめコメント
人気ウェブサイト『ほぼ日刊イトイ新聞』での連載「みうらじゅんに訊け!」を1冊にまとめた本書。みうらじゅんの目線で眺める47都道府県はそれぞれなんと魅力的なことか!かなり独特な目線ではあるのだけれど、みうらじゅん的ニッポン文化論といった趣もあって、読み物として非常に面白いです。また、彼がじんわりと発する郷土への愛情にあてられて、こちらまで日本がどんどん好きになっていきますよ。自分の出身地の章を読んでホクホクニマニマするのも楽しいですし、まだ行ったことのない地の章を読んで次の旅行先を探すのも楽しいです。
旅の思い出のまとめかた
パリ散歩画帖
朝日新聞出版
2013/3/7
この本のあらすじ
スケッチしながら散歩する旅のスタイルのすすめ。地下鉄の切符やカフェの紙ナプキンなど旅の思い出の品々をコラージュするハウツーも伝授。パリをガイドしながら自分だけの旅ノートの作り方を提案する。
おすすめコメント
家に帰ってきて一息ついた後に、あれこれ思い出して楽しかった道中に想いを馳せる時間も旅行の醍醐味のひとつですよね。そんなときに旅行の写真だけじゃなく、旅の記録や出来事が綴られた自分だけの旅ノートが傍らにあったなら、その旅行はいつまでも色褪せることなく鮮やかに思い出せるのではないでしょうか。本書は、日本を代表する銅版画家の山本容子が、可愛いイラストやコラージュを交えながら、素敵な旅ノートの作り方を伝授してくれるとともに、パリのおすすめスポットを教えてくれる一挙両得な一冊です。旅の思い出を上手にとっておきたい方にオススメです。
今回コメントを書くにあたって久しぶりに井伏鱒二の『集金旅行』を読み返したら、むかし読んだときより断然面白くて、猛烈に岩国にいってみたくなりました。暖かくなったらふらりとBOOK TRUCKで行ってみましょうかね。今から楽しみです。