#あの人に気になるあのこと聞いてみた

青春小説の金字塔、ついにアニメ化

『バッテリー』で中学球児たちの青春が始まる!

#あの人に気になるあのこと聞いてみた 青春小説の金字塔、ついにアニメ化
『バッテリー』で中学球児たちの青春が始まる!

長きにわたって愛され続けている、あさのあつこの傑作青春野球小説『バッテリー』。これまでも映画化やTVドラマ化は果たしてきたが、刊行から20年の節目で待望のアニメ化となった。
今回の特集では、主演声優の内山昂輝と畠中祐のインタビューなどを通じて、その魅力に迫る!

PROFILE

内山昂輝(うちやまこうき)

埼玉県出身。主な出演作は、『機動戦士ガンダムUC』、『RS計画-Rebirth Storage-』、『僕のヒーローアカデミア』、『マクロス⊿』、『バッテリー』など。2011年、第5回声優アワード新人男優賞を受賞。2015年にアニメオブザイヤーの声優賞を受賞。

畠中祐(はたなかたすく)

神奈川県出身。『ナルニア国物語』の一般公募オーディションに合格して声優デビュー。主な出演作は、『うしおととら』、『甲鉄城のカバネリ』、『遊戯王 ZEXAL』、『僕のヒーローアカデミア』、『KING OF PRISM by PrettyRhythm』、『ティーン・ウルフ』、『メイズ・ランナー』など。

TVアニメ『バッテリー』の原作小説はこちら!

アニメカバー版 バッテリー

あさのあつこ

KADOKAWA / 角川書店

野球に打ち込む中学生男子たちが登場する、あさのあつこの青春小説。児童文学として発表されたが、メインターゲットの年齢層だけでなく高い年齢層の読者の心もつかみ、1000万部を記録する大ベストセラーとなった。第1巻の刊行は1996年であり、それから長きにわたって愛されているロングセラー作品でもある。文庫本で全6巻でリリースされ、その後を描く続編的スピンオフ『ラスト・イニング』も発表されている。

少年時代特有のナイーブな心情が描かれる

──あさのあつこさんの原作小説は読んでいらっしゃったんですか?

内山小さいときにハードカバーの単行本で全部読んだ覚えがあるんですが、今回、文庫で読みなおして「こんな話だったんだ」と思いました。野球の作品というイメージが強かったんですが、少年たちの人間関係、あの時期特有のナイーブな心情にも焦点が当てられていて興味深かったです。

畠中僕は小さいころ本をあまり読まなかったので、原作も読んでいなかったんですが、存在は知っていました。図書室には絶対ありましたし、みんな読んでました。

──では、畠中さんは今回初めて原作を読んだんですね。

畠中今回を機に初めて作品に触れましたが、野球を描いた小説ということで実際にプレイしているところが多いのかと思ったのですが、そうではなかった。そのときの悩みであったり、身体感覚であったり、そういう強い衝動に駆られる瞬間の身体に収まりきらないような感覚が細かく描写されていて。その描写がすばらしい分、役者として、その感覚をどう自分の身体に落とし込んでいけばいいんだろうと思いました。

──演じられた原田巧と永倉豪はどういう人物でしょうか?

内山巧は天才少年というか、人にはないものを持っている孤高の存在という感じです。プライドが高く、合理性を重んじるタイプで、疑問を感じたことに対しては異議を唱えていく。意味のない慣例とか制度に歯向かっていくところは共感したというか、入り込みやすかったですね。

畠中豪はすごくまっすぐなヤツというか、結局はどんどん巧に振り回されていく(笑)。巧のボールを実際に感じて、巧に魅了されてしまったこともあって、「もっと巧のことを知りたい」「もっともっと向かっていきたい」と、そういうところにまっすぐにぶつかっていく少年なんだなと思いました。でも、巧に向き合うことに対しての、ある意味、恐怖も彼の中にあって。

──恐怖ですか?

畠中自分の限界と向き合わないといけないことにつながるので。これから演じていく上でそういうところを考えなくてはいけないんだろうな、きっとしんどいんだろうなっていう、そういう役ですね。

内山昂輝=原田巧!?

──お互いを見ていて役と似ていると感じるところはありますか?

内山熱意をもって何かに一直線な感じは、彼にもそういうところがあるなと思いますね。

畠中(内山のほうを見て)内山さんは巧です(笑)。

内山ほめられた感じがしない(笑)。監督も最初の説明のとき、「巧は性格が悪い」って言ってたし(笑)。

畠中いや、性格悪いんじゃないんですよ!

内山悪くとられがちってこと?

畠中そう! だから、本当に巧の行動原理とか目的をちゃんと理解してないと勘違いしちゃう。

内山巧は取りつくろわないから。

畠中内山さんも現場で取りつくろわないというか、そういうお芝居をされる方だなと。そこが魅力で、すごく好きなところです。自分もそこに向かっていきたくなりますし、まさに巧だなと感じます。

──望月智充監督は巧に関しては「性格が悪い」とおっしゃったとのことでしたが、豪については何と?

畠中「豪は難しい役だ」という説明がありました。

内山巧は野球中心主義というか、そのためには無駄なものは省いていく。だから、ある意味わかりやすいです。でも、豪は野球一直線な部分もあるけど、仲裁して人間関係を整えていくタイプで、複雑ですよね。体が大きくてガキ大将的だけど、家は病院で育ちのよい雰囲気がある。

畠中結局、豪の行動の目的は巧につながってしまうと思うんです。巧がまわりともめたときに豪がなぜ巧を止めるかっていうと、そうやってチームを乱すとバッテリーが組めなくなるかもしれないという理由からだし、そうやって豪の行動の理由は全部、巧につながっていく。その分、豪はまわりを見るし、考えるヤツで、今まで演じたことがない役柄です。

──役作りはどのようになさったんですか?

内山アフレコが始まる前に監督から「あんまり奇をてらった派手な感じはやらないでほしい。いわゆるアニメらしい感じよりは、自然にしゃべってください」と言われたので、それを念頭に置いています。キャラクターデザインも素朴な感じがあるので、それに馴染むようなセリフになればいいなと思っています。作り込むというよりは普通にしゃべる感じに近いですね。

畠中役作りはしっかりと原作を読んで、豪が何を思って動いているかを自分なりに考えました。それから、方言ですね。

──舞台が岡山なので劇中では岡山弁が使われていますね。

内山『バッテリー』の世界観にとって方言はとても大切な要素です。巧は方言のセリフが一切ないんですけど、巧のお母さん役であり、方言指導も担当なさっている乃神亜衣子さんには、みんなすごくお世話になっています。役によって微妙に言葉づかいを変えるなど、いろいろ工夫してくださっていて。

畠中豪が使う言葉だし、方言は大切にしたいです。あとは、声を作るとかそういうことじゃなくて、作り込みすぎないで、巧との掛け合いで生まれたものを大事にしたいなと思ってます。

ふたりの中学時代は対照的?

──アニメの映像もご覧になってると思うんですが、いかがですか?

内山やっぱり野球の描写、ピッチャーの巧が投げるフォームがすごくきれいになめらかに描かれてるのが印象的で、すごいと思いました。

畠中人物だと表情の変化が細かいというか、繊細ですね。驚くところでも露骨に「(息を飲んで)はっ!?」とかじゃなくて、微妙にまゆがうごいて、目も微妙に見開いて。誇張する表現じゃなくて、純粋に出てしまった表情として、顔の動きが描かれるんですよ。

内山台本のト書きも面白いんですよ。巧と母親の折り合いが悪いところで、「気持ちはイラッとしているが、イラッとしていることさえも伝えたくない」みたいに書かれていて(笑)。

──思春期特有の感情ですね。

内山それを小説のように言葉で描写するのではなく、絵で表現したいという気持ちが込められているのかなと。

──ちなみにおふたりの中学時代はどういうものでしたか?

内山ぜんぜん体育会系じゃなかったですね。何してたかなあ? ……あんまり面白いことはなかったですね。

畠中暗い暗い!(笑)

内山(畠中に)中学時代はどうでした?

畠中中学ですか。いろいろ楽しんでましたよ。バスケ部で。そこそこ恋愛もして。部活やって帰って、友達とメールして、ちょっと好きな人にメールして返事が来なくて、ご飯食べて寝るって生活でしたね。

内山楽しそうだね、それ。いいなあ。

畠中楽しかったですよ! 翌朝起きて、またケータイをチェックするけど、「ああ、やっぱり返信ないんだ……」って。

──『バッテリー』は野球が重要なテーマですが、おふたりは小中高で野球の経験は?

内山少年団とか部活とかはなかったですね。

畠中僕もないです。

内山ただ、遊びでやるのは好きで、小学校の夏休みに、凍らせたスポーツドリンクを持っていって、野球やってました。

──やるのではなく、見る側だといかがでしょう?

内山小学生のときは、野球を見るのが大好きでしたね。その当時は巨人が好きで、テレビ中継が終わってもまだ試合が終わってないと、ラジオで聞くみたいな感じで。

畠中そんなに好きだったんですか?

内山パワプロ(ゲーム『実況パワフルプロ野球』)もすごいやってた。

──見るのがお好きならルールとかもわかるわけですね。

内山だいたいわかります。インフィールドフライも知ってますよ。

畠中インフィールドフライ? なんですか、それ?

内山パワプロやればわかるよ(笑)。

畠中草野球とか友だちが誘ってくれるんですけど、ルールがわかんないから外野をずっと守らされてボールも飛んでこないし、打つときも「はいはい、三振」みたいな感じで(笑)。だから、あんまり野球にいい思い出がなくて、野球は好きでも嫌いでもなかったというのが、正直なところですね。

──今後、演者やスタッフのみなさんで野球をするような機会もあるんでしょうか?

畠中1回みんなでバッティングセンターに行きたいとは思ってるんですよ。

内山行きたいね。

畠中キャッチャーの構えとか、ボールを取る感覚とかをちゃんと知りたいなとも思ってるんですよ。バッティングセンターってミット持ってけばボール取れますか?

内山それはお金の無駄づかいな気がする(笑)。

巧と豪はそのままで大丈夫

──おふたりは巧と豪より人生の先輩なわけですし、彼らに何かアドバイスはありませんか? あまりにも頑固な巧に対して「もうちょっと柔軟になったほうがいいよ」ですとか。

内山大人や先輩と対立する場面とか見ると、もっと器用にうまいことやったらいいのにって気もしますけど、それはこずるい大人の見方というか。いいんじゃないですか、中学生だし。今は変化球を投げるな、という祖父の教えにはちゃんと従っていたりするので、内容に納得がいけば、人の意見を取り入れる柔軟性も持ち合わせていると思うし、巧はぜんぜん大丈夫だと思いますね。

──畠中さんは豪に言ってあげたいことはありませんか?

内山(畠中が口を開く前に)「病院継げよ」「野球は止めて勉強しろよ」って(笑)。

畠中止めて!(笑) 演じてる僕が一番言っちゃいけないことじゃないですか(笑)。

内山生涯賃金に差が出るかも!

畠中そこまでは今考えなくていいですよ!(笑) 豪を見て「そんなに肩の力を入れずに」って言う人もいるだろうけど、僕は豪は今のままでいいと思います。自信を失わないでいてほしいなあ。「そのままでいいよ」と言いたいです。

内山熱くなれる何かがあるってのはいいよね。

畠中そうですよ!

──『バッテリー』の原作はあさのあつこさんの小説ですが、他におふたりの好きな本があれば教えていただけませんか?

内山今、『ハリウッド・バビロン』という本を読んでます。ハリウッド黄金期の映画業界のスキャンダルをひたすら集めた本で。

畠中へ~~っ、面白そうですね。

──映画監督のケネス・アンガーが書いたゴシップに関する名著ですよね。

内山下巻を読んでる最中なんですけど、今も昔もスターはすごいなって(笑)。もちろん映画が好きっていうのもあるし、名著なんで読まなきゃと思ったんですけど。

──畠中さんはいかがですか?

畠中原田マハさんの『楽園のカンヴァス』が超好きで。アンリ・ルソーとピカソとのお互いの絵を認め合った上での熱いぶつかり合いといいますか、熱すぎて涙が出てくるみたいな展開が超好きですねえ(しみじみ)。それから、今、あさのあつこさんの『ラスト・イニング』を読んでるんですけど、これも胸が熱くなりますね。最後の試合が瑞垣(瑞垣俊二。強豪校の横手二中の選手)の視点で描かれるんですけど、「ほんと、巧は罪なヤツだな」って思いながら読んでます(笑)。

──では、最後にアニメを楽しみにしている方々にメッセージを!

内山みんなでがんばって作ってますので、ぜひ楽しんでいただければと思います。

畠中『バッテリー』で描かれる部活のような熱さもある現場で、いい感じでキャラクターそのものになって、肩の力を抜きつつも全力で取り組んでいきますので、皆さん見守ってください!

取材・文/武富元太郎
撮影/吉井明

内山昂輝さんと畠中祐さんのサイン入り原作本
『アニメカバー版 バッテリー Ⅰ』を
抽選で2名の方へプレゼント!!

応募期間:2016年7月7日~2016年8月4日

応募は終了いたしました。
たくさんのご応募ありがとうございました!

傑作児童文学がアニメに!

1996年に第1巻が発売され、シリーズ累計発行部数1000万部を突破した、あさのあつこの大人気小説『バッテリー』。メインターゲットである少年少女はもちろんのこと、大人も夢中になった青春野球小説の金字塔だ。これまで2007年に映画化、2008年にテレビドラマ化されていた、この『バッテリー』が刊行から20年という節目に待望のアニメ化を果たす。

監督はスタジオジブリ作品の『海がきこえる』や魔法少女ものの『魔法の天使クリィミーマミ』など数々の名作を手がけてきた望月智充。脚本の経験も豊かな望月が脚本もあわせて担当する。

多数の人気作で主演を務めている内山昂輝と畠中祐が2人の主人公を演じるなど、声優陣も人気と実力を兼ね備えたメンバーが集結。

名作『バッテリー』にふさわしいスタッフとキャストで、熱い青春ドラマが見事にアニメ化されるのだ。

STORY

2人の少年が出会いバッテリーを組んだ

野球のピッチャーとして抜群のセンスを持つ原田巧は、中学入学を前に、父・母・弟と共に、山あいの街である新田市に引っ越してくる。そこは母の生まれ育った故郷であり、かつては高校野球の名監督であった祖父と同居することになるのだった。
引っ越してきた日に巧は、同学年の永倉豪と出会う。豪も野球少年で、小学校時代の巧の活躍を知っていた。キャッチャーである巧は、豪が全力で投げたボールを見事に受け止めてみせるのだった。
同じ新田東中学校に入学した巧と豪は野球部に入部してバッテリーを組むが、己の信念にかたくなな巧は監督や先輩部員と衝突する。豪はそんな巧に戸惑いながらも彼を支え続け、2人はバッテリーとして成長していく。

INFORMATION

TVアニメ『バッテリー』

【CAST】
内山昂輝 畠中祐 藤巻勇威 小野友樹 木村良平 梅原裕一郎 ほか

【STAFF】
原作:あさのあつこ「バッテリー」シリーズ(角川文庫刊)
監督/脚本:望月智充
キャラクター原案:志村貴子
アニメーションキャラクターデザイン・総作画監督:草間英興
音楽:千住明
アニメーション制作:ゼロジー

【OFFICIAL SITE】
TVアニメ「バッテリー」公式サイト

【公開日】
7月14日よりフジテレビ“ノイタミナ”にて毎週木曜24:55~放送開始ほか各局でも放送開始
Amazonプライム・ビデオにて日本・海外独占配信

TVアニメ『バッテリー』の原作小説はこちら!

アニメカバー版 バッテリー

あさのあつこ

KADOKAWA / 角川書店

野球に打ち込む中学生男子たちが登場する、あさのあつこの青春小説。児童文学として発表されたが、メインターゲットの年齢層だけでなく高い年齢層の読者の心もつかみ、1000万部を記録する大ベストセラーとなった。第1巻の刊行は1996年であり、それから長きにわたって愛されているロングセラー作品でもある。文庫本で全6巻でリリースされ、その後を描く続編的スピンオフ『ラスト・イニング』も発表されている。

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