桜田一回、飯田で原作者の高野先生と、みんなでご飯を食べに行く機会があったんです。その時、原作には描かれていないんですが、僕たちと監督が考えた須和や萩田たちの出会いを話したんです。萩田は高校になかなか馴染めなかったけど、須和が声をかけてくれたおかげで、彼を通して少しずつクラスに打ち解けていった。それでいつも須和と一緒にいるようになった、と。そうしたら高野先生も、同じようなことを考えてくれていたみたいで。実際、現場でもシーンや段取りの関係で、僕たちは一緒にいることが多かったのですが、心を開けるという意味で、僕にとって竜星は須和にすごく近い存在です。裏表なく、まっすぐで信頼できる、言い方は悪いけど、地元の友だちみたいです。撮影の現場で、あまり会ったことのないタイプ。
竜星役者っぽくないってこと?
桜田いやいや、一線を引いていない。誰にでも分け隔てなく接するところが、本当に須和っぽいです。
──絶賛ですね。
竜星萩田と通の違いは、通のほうが色んな闇を抱えているってところかな(笑)。
桜田ついつい油断して漏れてしまって……でも、『orange』の現場は、いい現場だった。共演者と、こんな仲良くなれたことないもの。
竜星それは俺もそうだよ。
──最初のメインキャストの顔合わせで、監督の提案でトランプをしたそうですね。
桜田あれは正解だったよね。
竜星うん、もちろん個別にそれなりの役作りはしたけれど、どんな役作りよりも、この『orange』という作品は、菜穂や翔たち6人の関係性が大事だったと思う。
桜田僕ら自身の関係がよそよそしかったら、どんなに演じたところで、それはお客さんに伝わってしまうと思うんです。本当に、今回はこの作品を撮るのに最適な環境を作っていただいて。
竜星長野にずっといたというのも大きいと思うんだけど、撮影中は学生気分だった。
桜田ねえ、高校みたいだった。仕事はしっかりしてたけど。
竜星人数もちょうど良かったのかもしれないけど、俺たち6人が役柄の関係性を保てるように、監督やスタッフが最後まで見守ってくれた気がする。
桜田原作の世界観を、そのまま現場に持ち込んでくれました。だから僕たちも、作品に没頭して演技することができました。