小説
鍵のない夢を見る
文藝春秋
あらすじ
望むことは、罪ですか? 誰もが顔見知りの小さな町で盗みを繰り返す友達のお母さん、結婚をせっつく田舎体質にうんざりしている女の周囲で続くボヤ、出会い系サイトで知り合ったDV男との逃避行──。普通の町に生きるありふれた人々に、ふと魔が差す瞬間、転がり落ちる奈落を見事にとらえる五篇。現代の地方の閉塞感を背景に、五人の女がささやかな夢を叶える鍵を求めてもがく様を、時に突き放し、時にそっと寄り添い描き出す。著者の巧みな筆が光る傑作。第147回直木賞受賞作!
おすすめコメント
第147回直木賞受賞作品、著者・辻村深月の新境地とも言われた『鍵のない夢を見る』が電子書籍として登場です。ありふれた日常で起こる事件、そしてその中に潜む人間ドラマ。翻弄されて揺れ動く女性たちの姿は、彼女たちだけではなく、実際に自らもいつの間にか踏み込んでしまう可能性を持っていて、その闇へと陥る危うさを秘めています。暗く、救いのない内容もありますが、短編集ながらどれも非常に読み応えがあるのでおすすめです。