小説
晴れた日は謎を追って がまくら市事件
東京創元社
あらすじ
不可能犯罪ばかりが起こる街、蝦蟇倉(がまくら)市。商店街や高校があり、市内電車も走っているこの街は、どこにでもありそうで、どこかおかしい。自殺の名所といわくつきの崖では殺人事件が起き、ふらりと街を訪れた青年は怪しい相談屋の仕事を手伝う羽目に。蝦蟇倉警察署捜査一課に存在する不可能犯罪係、何の変哲もない置物を要求する脅迫者、10トンの銅像に圧し潰された彫刻家。この街に住む人々の日常は、いつも謎に彩られている。第一線で活躍する作家たちが贈る、不思議な街の道案内。〈がまくら市事件〉その1。
おすすめコメント
新年1発目は、人気作家が豪華競演したアンソロジーを。「アンソロジー?」テーマやジャンルに沿って複数の著者による作品を集めたものを、そう呼びます。伊坂幸太郎や道尾秀介など第一線級の先生方の並びを見ただけでワクワクしますが、さらに本作ではテーマどころか、ミステリが起こる「街」が共通。青春小説やSF小説ならまだともかく(それでも考える方は大変でしょうが…)、ミステリ作品では舞台設定もトリックの一部になることがあるので、この挑戦はかなり稀有だと言えましょう。巻末に付された「執筆者コメント」によると「何だかお祭りみたい」と、皆さん楽しんで取り組まれたようです。